2003年5月に開業して18年(2021年現在)
子供の頃から鳥が大好きでした。
鳥を診療する獣医になるまでは、普通に溺愛し、言葉を教えたり、懐かせるために四六時中こねくり回して可愛がっていました。
その結果、可愛いがっている鳥に起こったことは、過産卵のあげく卵詰まりで死、毛引き、放鳥中の事故、窓の外から逃亡、他いろいろ...
そんなこんなで何羽も大事な子を失い、そのたびに子供の私はこの世の終わりかと思うくらい泣きました。
今はその原因がわかります。
根本的に鳥がどんな生活をして何を目的に生きているのかを理解しないと、人と気がかりなく共存するのは難しいのだと思います。
病気になってもいいから短い期間好きなだけ溺愛して過ごしたいのか
病気を防ぐための生活を心掛けて、できるだけ長く「一緒に過ごしたい」のか
「一緒に過ごす」というのは、自分の愛情を押し付けて鳥とたわむれるのでもなく、自己満足に癒しを求めるのでもなく、ただ元気にそこに居てくれる、それが生活の原動力になってくれる存在という意味です。
当院では、溺愛する飼い方は推奨していません(当院に通院している患者様は大きく頷いているかと思います、笑)
ほとんどの飼い鳥は、擬人化した生活を送っています。
勝手な人の都合のいい解釈で、人間のように行動しているように思われています。
彼らは、過酷な環境によりさまざまなホルモンの支配を受け(根本は自律神経のバランス)、弱いものは淘汰され、強いもののみが繁殖し、自分の遺伝子を残すことができる世界に生きています。
つまり、行動の全てがさまざまなホルモンに操作されているし、条件反射で行動しているのです。
例えるなら、「理性のない人間」「聞き分けのない子供」
言葉を教えてしゃべる「小型鳥」はそれに意味があるし(求愛、発情)
言葉を教えなくても状況で言葉を覚えて話す「大型鳥」もそれには意味があるし(防衛、カモフラージュ、採餌、求愛、発情)
問題行動と言われる鳥の行動は、すべてその環境、飼育者の行動が引き起こしています。
はっきり言って人が鳥を飼うこと自体が、鳥の健康を損ねる生活の始まりです。
それは仕方ないとして、「いかに長く一緒に過ごせる生活を送るか」、そんなことをこのカテゴリーでは紹介していきたいと思います。
鳥ができるだけ病気にならないように飼うのは大変です。
寝る時間帯、睡眠の質から、保温、餌の管理… かなり細かいことまで気にしなければなりません。
言葉を教えたいから鳥を飼う、とか、手軽だから飼う、とか、癒しが欲しいから飼う、という場合はここでさようなら。
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よく聞く鳥の行動
攻撃性→ 防御、防衛、テリトリー、パートナーをめぐっての戦い(闘争)
懐く→ 求愛、発情
おしゃべり→ 小型鳥)求愛、発情 大型鳥)カモフラージュ、採食、防衛、求愛、発情
吐き戻し→ 病気、♂の求愛(プレゼント)、♀の妄想育雛… など
もぐる、のぞく、木や紙をかじり倒す、集める→ 巣作り行動、巣作りに適した場所のみさだめなど
昼寝→ しません!!! 昼寝する鳥は、寝不足か、具合が悪いです。
手乗りインコ、手乗り文鳥→ 手を怖がらないインコ、文鳥のことで手に乗せて遊ぶためのインコ、文鳥ではない