春から晩秋にかけてわんちゃんに必要なのがフィラリア症の予防薬投与です。
まず、フィラリア症を簡単にご説明致します。
フィラリア症とは、そうめんのような細長い虫が心臓に寄生してひどい循環障害(血液の流れを悪くして起こる病態)を起こす病気です。
フィラリアに感染するのには、蚊の存在があります。
わんちゃんがフィラリアの子供(ミクロフィラリア)を持った蚊に刺されると、それが体内(血管内)に入り、約7ヶ月かけて成長しながら心臓に向かいます。そして、心臓で成虫になりフィラリアの子供を産み始めます。
フィラリア予防とは、この血液中のフィラリアの子供を駆除する薬を一ヶ月に一度飲むことでフィラリアが子供のうちに退治することです。
そうすれば、心臓で成虫になる前にフィラリアは排除することができます。
もし予防をしないで毎夏蚊に刺され続けたとしたら、一年毎に心臓に寄生するフィラリアが増え、それに伴い産み出されるミクロフィラリアの数も増え、気が付いたときにはひどい症状になり手遅れになります。
暫くは全く症状を見せないので「大丈夫だと思った」と後悔しても後の祭りです。
フィラリアのお薬を飲ませる前に必要なのが、フィラリアに感染していないかどうか知るための血液検査です。
この検査では、心臓に寄生したフィラリアがいるかどうかが分かります。
「去年フィラリア予防忘れちゃったわ」
というわんちゃんで、今年は運良く陰性で、またうっかりしてフィラリア予防を忘れてしまったりするとフィラリアに感染して心臓に虫が寄生する危険は年々高まります。
フィラリア検査で陽性が出た場合、特別な治療をしなければ治りません。
また、フィラリア症の合併症状が出ている場合は治療むなしく亡くなってしまうかもしれません。
フィラリア症は昔は死亡率の高いよく見られる病気の一つでした。
フィラリア予防薬のおかげで、きちんと決められた期間決められた量を飲むことで100%防げるようになり、フィラリア症に遭遇することもほとんどなくなりました。
そうしたことから、「フィラリア症が恐い病気」という意識が年々薄れている気がします。
フィラリア症は飼い主さんが100%予防してあげられる病気の一つです。
投薬期間は、
蚊が出始めてから一ヶ月後から始めて、蚊が居なくなるまで、一ヶ月に一度お薬を飲ませます。
だいたい、4~5月に始めて12月までです。(8~9ヶ月間)
温暖化の影響で、年々この時期は長くなっています。
4月は狂犬病予防注射の時期です。
そのついでに、フィラリア検査をして、お薬をもらうとよいでしょう。